こんにちは。名古屋市天白区にある歯医者「医療法人IDGいちろう歯科・矯正歯科」です。
2018年に【口腔機能発達不全症】という病名が新設されました。
口腔機能発達不全症とは、生まれつきの障害が無いにもかかわらず、「食べる機能」「話す機能」など、お口の機能が十分に発達していない状態のことです。現代のお子さんの約7割がこの症状を抱えており、また歯並びや噛み合わせに大きく関わってきます。
ですが正しい咀嚼・嚥下・呼吸を習得し、「食べる機能」と「話す機能」を十分に発達させることで、発育に問題のある部分を正常に戻しながら、バランスの取れた顔貌と正常な歯並びに導き、お口を骨格から改善することができます。
口腔機能発達不全症の代表的な症状
・口唇閉鎖不全症
安静時に口が閉じられていない状態
・低位舌
本来舌は上顎に付いているのが正しい位置だが、下に下がってしまっている状態
・口呼吸
鼻性口呼吸、歯性口呼吸、習慣性口呼吸など、様々な要因によって口呼吸になっている状態
・異常嚥下(いじょうえんげ)
舌癖(ぜつへき)によって、飲み込みが上手くできていない状態
これら以外にも、専用のチェックシートを用いて診断していきます。
口腔機能発達不全症になると何が起こるのか
口腔機能発達不全を放っておくと、噛み合わせや歯並びに影響してきますが、それ以外にも発音障害や咀嚼機能にも悪影響を及ぼします。
・顎が小さくなる
舌や唇が正しい機能を果たしていないと顎も正しく成長せず、歯が並ぶスペースが狭くなってしまい歯並びや噛み合わせに影響してきます。
・呼吸障害
舌が下に下がってしまうといびき・睡眠時無呼吸症候群を引き起こす原因になります。
いびき・睡眠時無呼吸症候群は、酸素を上手く取り込めず体が疲れやすくなったり、集中力が持続しにくくなります。
・咀嚼障害
舌癖(ぜつへき)や口唇閉鎖不全症(こうしんへいさふぜん)などの影響で歯並び・かみ合わせが悪くなってしまうと食べ物が咀嚼しにくくなることがあります。そうすると、咀嚼時間が極端に長くなったり、短くなったりして、消化器官に負担がかかってしまいます。
・発音障害
舌癖(ぜつへき)により正しい発音が出来ず、滑舌が甘くなってしまうことがあります。
なぜ口腔機能発達不全症になるのか
口腔機能発達不全は先天的な要因よりも、生活習慣による影響が大きいといわれています。
なぜかというと私たち人間は、生まれてから生後約6ヶ月までは鼻で呼吸し、舌は必ず上に上がっているからです。
なので先天性の原因を除けば、後天的に習得してしまっているということになります。
生活習慣による原因
・アレルギー
アレルギー性鼻炎や扁桃肥大などの慢性鼻炎により口呼吸になりやすい
・姿勢の悪化
スマホやタブレット等の長時間使用により、姿勢が悪くなり口呼吸になりやすい
・食の欧米化
食の欧米化が進み、柔らかい食べ物や加工食品の普及し噛む力が弱くなる
先天性による原因
・上唇小帯/舌小帯 異常
生まれつき上唇小帯/舌小帯の形態に異常が見られ、舌や唇が動かしにくくなる
・染色体異常/口唇口蓋裂
口腔機能発達不全症は予防ができる
生活習慣が原因になっている口腔機能発達不全症は、予防することが可能です。
・鼻呼吸を習慣化させる
慢性鼻炎がある場合は専門医で治療を受けながら鼻通りを良くし、常に鼻呼吸を意識する。
・トレーニングを受ける
舌や口周りの筋肉を鍛えることで、舌や唇を正しい機能へ回復させます。
・姿勢を意識する
正しい姿勢を意識することで、鼻呼吸もしやすくなります。
・バランスの良い食事をとる
歯ごたえのあるものを柔らかいものなど色々な食感を組み合わせ、よく噛む工夫をする
まとめ
口腔機能発達不全症を放っておくと、歯並び・噛み合わせ・呼吸/咀嚼/発音障害・など、体全身の影響を及ぼします。
歯並びを直すだけであれば歯列矯正で直すことができますが、口腔機能発達不全症は大人になってからの治療は困難といわれ、成長が盛んな小児期にアプローチをすることが重要です。
ですが口腔機能発達不全症を直したからといって、綺麗な歯並びや噛み合わせを獲得できるとは限りません。
本来の目的は、正しい咀嚼・嚥下・呼吸を習得し、『食べる機能』と『話す機能』を十分に発達させることです。治療をすることで、発育に問題のある部分を正常に戻しながら、バランスの取れた顔貌と正常な歯並びに導き、お口を骨格から改善することができます。
口腔機能発達不全症は1つの症状ではなく、複数組み合わさっていることがほとんどです。
「これって口腔機能発達不全症かな?」
「いつも口が開いていて心配だな、、」等々
お子さんのお口のことできになることがありましたら、ぜひご相談に来てください。