こんにちは。名古屋市天白区にある歯医者「医療法人IDG いちろう歯科・矯正歯科」です。
「矯正治療は、歯がきれいに並べば終わり」と考えている方も多いのではないのでしょうか。インビザラインに限らず、矯正治療を行ったあとは、整った歯並びを定着させる保定期間が必要です。保定期間中は、保定装置を装着しなければいけません。
今回は、矯正治療後に起こる後戻りとよばれる現象や、後戻りを防止するために欠かせない保定装置について解説します。
目次
後戻りとは
インビザライン矯正は、もとの歯並びから少しずらしたマウスピースを装着することで、歯を動かしたい方向に力を加えます。加えられた力によって歯を支える歯槽骨の再生と破壊が起き、歯が動くのです。そのため、矯正治療が終了した直後は歯槽骨が安定しておらず、歯が動きやすい状態です。
歯が動きやすい状態で保定装置を装着せずに過ごすと、歯が矯正前の位置に戻ろうと動きます。矯正後の歯並びがもとの歯並びに戻る現象を「後戻り」とよびます。
インビザライン矯正後に後戻りしてしまう原因
後戻りが起こる具体的な原因をまとめました。
親知らず
親知らずは、20歳前後で生えることがある前歯から数えて8番目の奥歯です。
矯正治療が終了したあとに親知らずが生えてきた場合、きれいに並んだ歯列が圧迫されることがあります。親知らずが生えたことで歯列全体が動き、歯並びが再び悪くなるのです。
口腔習癖
口腔習癖は、無意識に行うお口の周りの癖のことです。歯並びは、お口の周りの筋肉や舌の位置などのバランスによって正しい位置に保たれます。バランスが崩れるような癖がある場合、歯並びが悪くなることがあるでしょう。
例えば、舌を前歯で噛む癖がある場合は、出っ歯になることがあります。口呼吸の癖がある場合は、お口の周りの筋肉のバランスが崩れて歯並びが悪くなることがあるでしょう。矯正治療後に歯並びを悪くする可能性がある口腔習癖が改善されていない場合は、後戻りする可能性が高いです。
歯周病
歯周病は、歯茎の炎症によって歯を支える骨が溶ける疾患です。
矯正治療後は骨の状態が安定していないため、歯が動きやすいといわれています。歯周病によって骨がダメージを受けると、後戻りしやすいです。
保定装置の不適切な使用
インビザライン矯正が終了したあとは、後戻りを防ぐために保定装置を一定期間装着します。
保定装置の装着を自己判断で中止した場合、後戻りの原因になります。また、保定装置を正しい位置に装着できていない場合も、後戻りの原因になるでしょう。
インビザライン矯正後に装着する保定装置とは?
保定装置とは、インビザライン矯正によって整えた歯並びがもとに戻らないようにする装置です。保定装置にはさまざまな種類があります。以下、代表的な保定装置と特徴をまとめました。
マウスピースタイプ
マウスピースタイプは、透明なマウスピースで作られた保定装置です。
目立ちにくく、自分で取り外しができることが特徴です。耐久性がやや劣ることがデメリットでしょう。インビザライン治療で使用したマウスピースと同様に、食事や歯磨きの際は外します。
プレートタイプ
プレートタイプは、歯の裏面はプラスチック、表面はワイヤーで作られた保定装置です。
比較的よく使用される保定装置で、自身で取り外しができます。耐久性が高く、噛む面が覆われていないので着け心地がよいことが特徴でしょう。ワイヤーが外から見えるため見た目が悪く、歯の裏面に樹脂があるので滑舌が悪くなるデメリットがあります。
フィックスタイプ
フィックスタイプは、前歯の裏側にワイヤーを装着する保定装置です。
歯の裏に直接接着するため、目立ちにくいです。
しかし、歯磨きが難しいため汚れが付きやすく、歯周病や虫歯の原因になることがあります。
保定装置の装着期間
保定装置の装着期間は、1〜2年程度が一般的です。基本的に治療期間と同じ期間装着します。
保定装置を使用し始めた直後は、月に1回程度の頻度で通院します。矯正治療が終了した直後は歯が動きやすいため、保定装置が適切に機能しているか確認するためです。また、保定装置の装着時に違和感や痛みがある場合や、お口の清掃状態が悪く虫歯や歯周病のリスクが高い場合も、月に1回の頻度で通院することがあるでしょう。
保定装置が正常に機能している場合、通院頻度を2〜3か月に1回程度まで減らすことができます。歯並びの状態が安定し、担当の歯科医師が保定装置は必要ないと判断すれば、保定装置による治療は終了です。
しかし、定期的に歯や歯茎の状態を確認することは、きれいな歯並びを維持するために必要です。6か月に1回の頻度で定期健診を受診し、歯のメンテナンスや歯並びの状態を確認してもらいましょう。
保定装置の洗浄方法と注意点
マウスピースタイプとプレートタイプの保定装置は取り外しができるため、定期的に洗浄を行う必要があります。取り外しができる保定装置の洗浄方法と注意点は、以下のとおりです。
保定装置の洗浄方法
まず流水である程度の汚れを落とします。歯との接触面は汚れが付着しやすいため、専用のブラシもしくはやわらかめの歯ブラシを用いて磨いてください。
保定装置の清掃は、毎日行うのが理想です。歯磨きや食事の際などに外した際、装着する前に洗浄を行うように心がけましょう。また、目に見えない汚れや細菌を除去するために、専用の洗浄剤を週に1〜2回使用してください。
保定装置を磨くときの注意点
保定装置の洗浄を行う際の注意点は、以下のとおりです。
やわらかいブラシで磨く
硬い歯ブラシで保定装置を磨くと、傷がつきます。保定装置が傷つくと、汚れや細菌が付着しやすくなります。保定装置を洗浄する際は、やわらかめの歯ブラシもしくは専用のブラシを使いましょう。
歯磨き粉を使用しない
歯磨き粉には、汚れを取るための小さい粒が入っています。粒が保定装置を傷つけることがあるので、歯磨き粉の使用は控えましょう。
熱湯を使用しない
保定装置に熱湯をかけると変形する可能性があります。洗浄の際は、水もしくはぬるま湯を使用しましょう。
洗浄後に乾かす
保定装置に水がついた状態で放置すると細菌が繁殖し、においの原因になります。保定装置の洗浄後は、水分をしっかりと拭き取って乾燥させましょう。
ケースで保管する
洗浄後に保定装置をティッシュやキッチンペーパーなどに包んで放置すると、誤って捨てることがあります。洗浄後は専用のケースに入れて保管しましょう。
まとめ
今回は、インビザライン矯正後の後戻りと保定装置についてご説明しました。
矯正治療は、歯を支える歯槽骨の再生と破壊を利用して歯を動かします。矯正治療が終了した直後は歯槽骨が安定しておらず、歯が動きやすい状態です。そのため、歯並びがもとの歯並びに戻る後戻りが起きることがあります。後戻りの原因は、口呼吸などの口腔習癖や歯槽骨が弱くなる歯周病などです。
後戻りを防ぐには、保定装置を装着する必要があります。主な保定装置は、マウスピースタイプ・プレートタイプ・フィックスタイプの3種類です。保定装置を選択する際は、それぞれのタイプの特徴を理解することが重要です。
インビザライン矯正で整えた歯並びを維持するために、正しく保定装置を使用し、定期的に歯科医院を受診しましょう。
インビザライン矯正を検討されている方は、名古屋市天白区にある歯医者「医療法人IDG いちろう歯科・矯正歯科」にお気軽にご相談ください。