こんにちは!天白区いちろう歯科保育士の水野です。
近年、日常的にお口がポカンと開いているお子さんが増えています。
みなさんも日常生活の中でいつもお口が半開きな方を見かけることがあるのではないでしょうか。
「お口ポカンは遺伝ですか?」
と聞かれることもありますが、ほとんどの場合そうではありません。
お口が閉じられないのは、成長過程でお口を閉じるという機能が獲得できていない、もしくは獲得後に何らかの理由により口呼吸が定着してしまったから。
お口ポカンを防ぐためには赤ちゃんの頃(哺乳期・離乳期)が最も大切であることが近年分かってきています。
目次
お口を閉じられない根本的な原因
本来「お口を閉じる(口唇閉鎖)」という機能は、授乳期・離乳期に獲得するものです。
赤ちゃんはお口を開けたまま母乳やミルクを飲んでいます。
ところが、離乳食が始まり幼児食へと進む過程で「お口を閉じて食べる」という機能が必要になります。
人が成長に伴い獲得していく様々な機能には、獲得するのに適した時期があります。
口唇閉鎖という機能やその基礎が赤ちゃん時代に獲得出来なかった(もしくは獲得が不十分だった)ことが、将来のお口ポカンに繋がっているのです。
「正しい哺乳=ラッチオン」が口呼吸を防ぐ
お口の正常な発達に欠かせない「ラッチオン」とは
ラッチオン(latch on)という言葉を聞いたことがありますか?
授乳を行う際に、赤ちゃんが正しい体勢で乳首に深くしっかり吸い付いている状態のことです。
正しくラッチオンを行って哺乳をすることで、赤ちゃんは最大限自分のお口の力を使うことが出来ます。
この「最大限自分のお口の力を使える」状態により、お口を閉じたり食べるための筋肉が発達し、顎骨の発達も促されます。
顎骨が発達することは、将来の不正咬合を防ぐことに繋がっていきます。
ラッチオンが出来ていないとどうなるの?
上手く吸い付けていない「浅飲み」状態や、望ましくない授乳姿勢でも赤ちゃんは哺乳することが出来ます。
しかし、ラッチオンが出来ている状態と比べ、お口の力の使い方には大きな差が生じてしまうのです。
一見しっかり飲めているように見えていても、正しくラッチオンが出来ていない状態ではお口の力は育ちません。
力を使わずに楽に飲める哺乳瓶(傾けるだけで中身が出てくる丸穴タイプの乳首)も同様です。
1日に何度も行われる授乳は、赤ちゃんのお腹を満たす以外にも「お口の機能の基礎を育てる」というとても大事な役割を担っています。
赤ちゃん時代に培うお口の基礎力は、数年先のお口の状態に大きく関わっているのです。
人間以外の哺乳類は口呼吸をしない!?
生まれたばかりの人間の赤ちゃんは鼻呼吸です。
口呼吸では母乳を吸うことが出来ません。
他の哺乳類も同様です。
しかし、人間だけは口呼吸をしていまいます。
(犬が口で呼吸をしているように見えるのは、口呼吸ではなく体温調整のため)
鼻呼吸のサルを実験により鼻を塞いで強制的に口呼吸にすると、人間同様に不正咬合の兆候や顔立ちの変化が現れます。
また、口呼吸にされたラットは死亡率が上昇することが知られています。
鼻呼吸の動物にとって、口呼吸はそれ程までに不自然なことなのです。
口呼吸と鼻呼吸では筋肉の使われ方が違います。
人間にとっても、口呼吸は非常に負担のかかる状態。
正しいラッチオンで口呼吸を防いでいきましょう。
お子さまの気になるお口のことは歯医者さんへ
当院では「口育クラブ」「小児予防矯正」といったお子様のお口の健全な成長にアプローチするプログラムも行っております。
気になる癖や口腔内に関する不安がありましたら、ぜひ一度いちろう歯科にご相談ください!
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