子供のいびきー子供にも睡眠時無呼吸症候群があるってご存知ですか?

こんにちは。いちろう歯科・矯正歯科です。
保護者の方から「うちの子、夜中のいびきや歯ぎしりがうるさくて…」
「睡眠時無呼吸症候群って大人だけじゃないんですか?」
こんな質問をいただきます。
本日はそんな睡眠時無呼吸症候群についてお話しをさせていただきます。

睡眠時無呼吸症候群(sleep apnea syndrome:SAS)とは

睡眠時無呼吸症候群とは睡眠中に何度も呼吸が止まったり、浅くなったりして体の低酸素状態が発生する病気です。
血中の酸素濃度が下がると、それを補うために心臓の働きを強めて高血圧になったり動脈硬化や心筋梗塞のリスクが上がります。
また、糖尿病や高脂血症もしばしば合併し突然死の可能性も生じると言われます。
睡眠時無呼吸症候群の診断基準は成人と小児で異なり、
成人の場合は『10秒以上の呼吸停止が一晩に30回以上、または1時間に5回以上』とされていますが、
小児の場合は『無呼吸の時間に関わらず、2回分呼吸停止があれば無呼吸と診断する』とされています。
小児は成人よりも呼吸回数が多いですが、息を吐いた時に肺に残る空気量(機能的残気量)が少なく、短い無呼吸であっても、高度の低酸素血症を生じてしまいます。


小児の睡眠時無呼吸症候群の主な原因


睡眠時無呼吸症候群の原因は主に空気の通り道である気道が塞がれてしまう閉塞型と、呼吸機能を調整する脳の働きが低下して生じる中枢型に大別されます。
小児の睡眠時無呼吸症候群の多くは閉塞型によるものです。
気道が塞がれてしまう主な原因は、扁桃腺やアデノイドの肥大、鼻閉、
アレルギー性鼻炎、肥満があります。

正しい気道と閉塞気道

 歯並びとの関係


下顎が小さい場合や噛み合わせが深い場合(過蓋咬合)ではお口の容量が少なくなり、睡眠時に舌が後方に押し出されます。
その結果、気道が狭くなり睡眠時無呼吸症候群を発症しやすくなります。
出っ歯(上顎前突)や開咬では口が閉じにくく、睡眠時も口を開けたまま寝てしまいます。
その状態が続くと、重力の作用で下顎が下がってしまうため同様に睡眠時無呼吸症候群を発症しやすくなります。

また、扁桃腺やアデノイドの肥大により気道が狭くなることや、慢性的な鼻炎があると鼻呼吸が苦しくなるため、口呼吸を行うようになります。
口呼吸を行なっていくと、舌が正しい位置から下がっていきます(低位舌)。
そうすると、食べ物を飲み込む際の力は上顎に伝わらず前歯を前に押し出してしまいます。これが続いていくと正しい方向に顎が成長せず、上顎前突や開咬になっていきます。

舌の正しい位置


また、夜間の歯ぎしりはストレスから生じることもありますが、睡眠時に呼吸が苦しくなり下顎を無理やり前方へ動かすことで気道を確保するために行う場合もあります。


小児睡眠時無呼吸症候群による影響


小児の睡眠時無呼吸症候群も様々な症状が現れます。
お子様自身が症状を訴えることがあまりなく、発見が遅れるケースがありますが、未治療であると成長発達障害、注意多動障害、心血管機能障害を生じることがあるため早めの診断、治療が必要になっていきます。
気道閉塞による病態
引用文献 小児科60巻 10号 2019/9発行
特集 小児の閉塞性睡眠時無呼吸症候群 北村剛一

下記のような症状が認められるときは医療機関へ受診をお勧めします。
睡眠時無呼吸症候群の症状

 


小児の睡眠時無呼吸症候群の治療


子供の睡眠時無呼吸症候群は原因が多岐に渡り、様々な診療科への受診が必要な場合もあります。
扁桃腺やアデノイド肥大が原因として考えられる際は耳鼻咽喉科や小児科での受診になりますが、歯並びや口呼吸が原因であれば歯科での治療が必要となります。


 歯科治療は?

大人の場合では生活習慣の見直し、減量といった方法や、下顎を前方へ出し気道を確保するために睡眠時無呼吸症候群用マウスピースを使用します。
(歯科医院では睡眠時無呼吸症候群の診断はできないため医科からの情報提供書が必要となります)
しかし、成長期である小児に睡眠時無呼吸症候群用マウスピースは発達阻害を起こしてしまう可能性があり、通常は行ないません。
顎の成長不良や歯並びが原因である場合、矯正治療を行います。
特に小児の矯正治療では予防矯正といった、「お口のクセ」を治していくことで正しい顎の発達や歯並びを手に入れるという方法が近年注目されています。
当院では積極的に予防矯正を行い、お子さんが正しい口腔機能を獲得できるようサポートしています。


まとめ

小児のいびきや口呼吸は軽視されがちな印象ですが、その影響は子供達にとって計り知れない影響があると思います。
睡眠時無呼吸症候群は年齢に関わらず非常に注意すべき疾患の1つであり、今後小児の睡眠時無呼吸症候群は増加していくともいわれています。
お子様の大事な成長期に原因を調べて、早期に治療を受けることでその後の健やかな成長に導くことは大切だと思います。
成長期だからこそ行える治療ですので、気になった方はいちろう歯科・矯正歯科へお気軽にお尋ねくださいね。

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